研究内容紹介 

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 教授・稲谷は、これまで、緑内障の病態に重要な眼の組織である隅角と視神経の研究をおこなってきました(Science 2003; The Journal of Clinical Investigation 2009; Investigative Ophthalmology & Visual Science 2011;Proceeding of the National Academy of Sciences USA 2015)。隅角が悪くなると眼圧が上昇し、視神経が押しつぶされてしまいます。現在、福井大学では、緑内障で傷害される視神経がどのくらいダメージをうけているかがわかる指標となる因子をあきらかにする研究やダメージをうけた神経を保護する研究に取り組んでいます。研究費の大部分は、日本学術振興会(文部科学省)科学研究費基盤研究(B)の支援をうけています。一方、緑内障手術は必ずしも全ての患者さんの眼圧を下げられる万能な手術ではなく、緑内障のタイプや患者背景によって、眼圧の下がり方がずいぶんと異なることをこれまで取り組んできた臨床研究から次々と明らかにしてきました(American Journal of Ophthalmology 2009; Archives of Ophthalmology 2011; Journal of Glaucoma 2011; American Journal of Ophthalmology 2011; Journal of Glaucoma 2012;Scientific Reports 2015)。このように常に、手術後の患者さんの経過を診察し、その結果をフィードバックして、今後の医学の研究に役立てるように、日本学術振興会(文部科学省)科学研究費挑戦的萌芽研究の支援をうけ、新たな課題に取り組んできます。

 また、以前から当研究室で行ってきた基礎研究である糖尿病眼合併症の発症メカニズムについても研究を行っています。まず、臨床面では、最新器機を使用して、角膜厚、瞳孔検査、白内障像、網膜厚などを測定し、一体、糖尿病眼では何が起こっているかを丹念に調べることを第一目標としています。単純に糖尿病眼と非糖尿病眼と比較しても差が無い事も多く、手術などのストレスが加わった後の状態を中心に調べています。さらに、最近スタートしたプロジェクトとして、糖尿病網膜症から血管新生緑内障へ進行してしまうことをいかに抑えることができるかを研究しています。本研究課題は、日本学術振興会(文部科学省)科学研究費基盤研究(C)の支援をうけています。